topics

2025/11/11

電子機器・産業機器の試作ってどのように行うの?弊社の試作ステップを紹介

「こんな製品を作りたい」という熱意を具体的な形にするため、私たちは開発設計の構想段階からお客様に伴走しています。弊社の開発設計サポートについては、「こんな製品を作りたい」を形に。構想段階から伴走するイーエル・オカモトの開発設計サポート(https://www.el-okamoto.co.jp/news/tech20251028)でも一部紹介しましたが、今回は、製品開発の核となるイーエル・オカモトの試作ステップについて、詳しくご紹介します。


試作提案と開発ステップ:なぜ試作を複数回に分けるのか?

弊社の試作提案では、製品のコストの明確化お客様の要求の具現化を確実に進めるため、数回に分けて試作を繰り返すことを推奨しています。試作を複数回に分けることには、以下の大きなメリットがあります。

  1. 潜在的な要求の洗い出しと検証: お客様ご自身も気づいていなかった潜在的な要求を洗い出し、段階的に検証することができます。
  2. 費用の分散: 試作費用を一度に負担することなく、複数回に分散させることができます。
  3. リスクの最小化と軌道修正: 万が一、事業推進が困難になった場合でも、費用負担を最小限に抑え、早い段階での軌道修正が可能です。これは特に、スタートアップ企業様にとって大きなメリットとなります。

多くのケースでは、量産までに3〜4回の試作を繰り返すことで、市場ニーズを捉えた、より精度の高い製品を作り上げていきます。


イーエル・オカモトが定義する試作ステップ

POC(Proof of Concept):0次試作(概念実証・概念試作)

  • 目的: 新しいアイデアや技術が「概念的に実現可能か」を検証する試作です。プリント基板(PCBA)やハーネスがむき出しの状態で、あくまで機能検証を目的とします。
  • 部品の構成: シングルボードコンピューターなどを利用して作成されることが多いです。拡張基板などを開発し、インターネットで購入できる電子部品などで構成するのが一般的です。
  • 製造方法: SMTを利用することもありますが、**手実装(手はんだ)**で製造することが多いです。生産ラインではなく、主に開発や工作室で製作されます。

1次試作

  • 目的: POCで機能が確認できた後に行います。関係者による実際の評価や、POCからの機能修正の確認に使用されます。
  • 製品の状態: PCBAを想定されるサイズに近づけ、汎用ケースに収めた状態での試作が多いです。
  • 部品の構成: この時点でもシングルボードコンピューターを利用することもありますが、量産を意識してマイコンやSOCの選定を進めることが多いです。その他の部品も、量産を意識して一部は商社やサプライヤから購入し始めます。
  • 製造方法: 量産を意識してSMTでの実装を行うこともありますが、枚数は5~10枚程度の超小ロットのため、実装費用が高額になることが多い点にご注意ください。生産ラインではなく、開発や工作室で製作することがほとんどです。

2次試作

  • 目的: 機能がほぼ完成した段階で行う試作です。主に展示会への出展ユーザー評価用として使用されます。
  • 製品の状態: デザインされたケースを3Dプリンターや切削加工で作成し、製品として完成された状態を目指します。
  • 部品の構成: 1次試作からさらに、量産を意識した購入先(商社やサプライヤ)からの部品購入を進めます。ケースや機構部品についても、数量やご予算に合わせて、3Dプリンタ、切削、試作型による成型など、最適な手法をご提案します。
  • 製造方法: SMTでの実装の割合が多くなります。数量はまだ100枚までが多く、SMTの費用が高額になりがちです。開発や工作室で製作されることが多いですが、この段階で製造人員が組み立て性など製造に関するチェックを行います。

3次試作(量産前試作・PP)

  • 目的: 量産のための最終確認です。製品の安全性を確認するための信頼性試験や認証機関での試験、そして量産のための製造ラインの確認に使用されます。
  • 製品の状態: 量産前試作(Pre-Production)やPPと呼ばれる試作です。ケースも金型品となり、量産同等の品質となります。
  • 部品の構成: 量産と同じ購買ルートからできる限り購入します。
  • 製造方法: 量産を意識して、量産と同じ製造ラインで製造を行います。

まとめ

試作ステップ名称主な目的製品の状態
0次試作POC(概念実証)機能検証PCBAやハーネスがむき出し
1次試作機能修正確認、関係者評価PCBAが想定サイズに、汎用ケースに収納
2次試作ユーザー評価、展示会出展デザインケース(3Dプリンター等)で製品の完成形へ
3次試作量産前試作(PP)信頼性・認証試験、製造ライン確認金型品ケースなど量産同等の品質

POCは自社で製作される企業様も多いですが、近年では、POCの段階から弊社にお任せいただける企業様も増えてきました。

弊社の試作ステップは、あくまで標準的な流れです。最終的には、お客様のご要望とご予算に合わせて、試作回数や内容を柔軟に決定し、最適な開発プロセスをご提案させていただきます。

製品開発・試作に関するご相談は、お気軽に株式会社イーエル・オカモトまでお問い合わせください。

トップへ戻る