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【中国工場視察レポート】:リチウムポリマー電池サプライヤー選定の裏側
平素よりお世話になっております。株式会社イーエル・オカモトです。
株式会社イーエル・オカモトでは、EMS(電子機器受託生産サービス)において最適な部品をお客様へ提供するため、海外部材の調達も行っております。とりわけ、世界の製造拠点である中国・華南地区においては、強固なサプライヤー・ネットワークを構築しており、プラスチック成型品、板金、プリント基板、各種電子部品に至るまで、多岐にわたる部材を調達しております。その際、弊社が最も重視しているのが「自らの足で現地へ赴き、自らの目で工場を確認し、真に信頼できるサプライヤーであるかを判断する」という現場主義の徹底です。
今回は、顧客向け製品に搭載されるリチウムポリマー電池の調達を目的として、中国現地のサプライヤー5社の工場を視察し、厳格な選定を行いました。本稿では、カタログスペックやWEBサイトの情報だけでは決して把握することのできない、海外サプライヤー選定の“リアル”な実態についてご報告いたします。
(※注釈:弊社では標準的なリチウムイオン電池の積極的な汎用調達を行っているわけではなく、特定契約に基づく調達として実施しております。)
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目次
リチウム電池の危険性と、工場視察が不可欠な理由
リチウムポリマー電池(およびリチウムイオン電池)は、現代の電子機器に不可欠な高エネルギー密度の電源です。しかし、製造不良が原因で内部ショートなどを起こすと「熱暴走」を引き起こし、発煙や発火などの重大な事故に直結する危険性を孕んでいます。
これらの不具合の大半は、製造工程における微細な異物混入や水分管理の不備に起因します。そのため、工場内の厳密な温湿度管理やクリーンルームの維持、そして初期不良を排除するエージング工程・信頼性試験が正しく運用されているかが、安全性を担保する絶対条件となります。
しかし、こうした製造環境のリアルな実態や、作業員の品質に対する意識(5Sの徹底度など)は、どんなに立派なWEBサイトや書面からでも読み取ることはできません。だからこそ、弊社は実際に製造現場へ足を運び、専門的な視点から厳格に確認する必要があると考えております。
WEB情報のみに依存しない、事前の選定基準
過去にもリチウムイオン電池のサプライヤーを訪問した経験がございますが、実際に足を運んでみると「品質管理体制に多大な不安が残る」「弊社の求める仕様の製品を主力として生産していない」といった課題に直面することが多々ありました。このような過去の知見を踏まえ、今回は現地訪問の前に、以下の4つの基準を設けました。
- 弊社が探している仕様の製品の製造を得意分野としているか。
- WEBサイトや提供資料から判断して、最低限の生産設備と品質管理体制を保有しているか。
- 事前に概算見積もりを取得し、市場相場に対して適切な価格競争力を持っているか。
- 自社工場を保有し、セルの製造工程から一貫して対応可能であるか。(単なるアセンブリ工場やブローカーではないか)
これら4つの基準をもとに、当初リストアップした約20社の候補の中から5社まで絞り込みを行い、中国現地の工場視察を敢行いたしました。
いざ現地へ!サプライヤー5社 工場視察レポート
ここからは、実際に5社の工場を訪問して得られたリアルな視察結果をご報告いたします。事前のWEB調査では同等の水準に見えた各社ですが、現場の状況には明確な差異が存在していました。
A社:自社の工程に確固たる自信を持つ、好印象な工場
最初に訪問したA社では、工場長自らが全製造工程の案内を担当しました。「この工程では過去にこのような課題があったため、現在はこのような対策を講じて不良の低減と品質確認を徹底している」という具体的な説明がなされ、品質管理に対する真摯な姿勢が伺えました。
現場の5Sも高い水準で維持されており、信頼性試験を自社内で完結できる高度な検査設備も整っていました。「もうこの工場に決定しても良いのではないか」と思わせるほど、非常に好感の持てる工場でした。自社の製造工程に対して自信と責任を持ち、それを的確に説明できる担当者の存在は、サプライヤーとしての信頼に直結すると強く感じました。
※実際の写真をアニメ風にしております。

B社:日本市場への納入実績はあるものの、細部に懸念
日本の電子部品商社も同社の製品を取り扱っており、日本向けビジネスに慣れているサプライヤーでした。生産工程や保有している設備自体は、前述のA社とほぼ同等レベルにありましたが、工程に関する詳細な説明を求めた際や、確認したい品質管理ドキュメントの提示を求めた際、すぐに対応できない場面が散見されました。また、一部の生産設備に汚れが付着したままになっているなど、A社と比較すると細かな管理面での甘さが見受けられ、やや劣るという評価に至りました。

C社:最新設備を導入しているが、管理体制に大きな不安
A社、B社を凌ぐ最新鋭の生産設備を導入しており、生産能力や価格面においては3社の中で最も優れた条件を提示していました。
ところが、各部署の担当者に製造や品質に関する質問を投げかけても、即座に明確な回答が得られず、必要なドキュメントも整備されていない状況でした。さらに致命的であったのは、品質を担保する要となる信頼性試験装置が適切にメンテナンスされている形跡が見られなかったことです。設備は立派でも、運用・管理体制が伴っていないないと工場として選定できず、自社にも良い教訓となりました。
D社:WEBの虚飾と現実のギャップ。現地確認の重要性を痛感
D社に関しては、製造工程の管理状況に多大な懸念があり、工場内も部品や仕掛品が乱雑に置かれ、全く整理整頓されていませんでした。 事前のWEBサイトでは清潔で真新しい信頼性試験設備の写真が掲載されていましたが、実際に現場で確認すると、その機械はホコリをかぶっており、長期間使用されていないことは明白でした。当然ながら、到底発注を任せられる水準の工場ではありません。 もし仮に、このような工場に対して「WEBサイトの印象と価格」だけで発注を行っていた場合、深刻な品質トラブルが頻発していたことは想像に難くありません。自分たちの足で現場を訪問し、実態を把握することの重要性を、身をもって痛感した事例となりました。
※生産ライン上に私物や食べ物などが散乱している状態。作業員が帽子もかぶっていない。

E社:すべてにおいて高水準。最も信頼できるパートナー候補
最後に訪問したE社は、A社と同様に厳格な工程管理が実施されており、なおかつC社と同等の最新鋭の自動化設備が導入されていました。
コストパフォーマンスにも優れ、量産への対応能力も十分であり、極めて優秀な工場であると評価しました。 さらに、信頼性試験を自社内で完結できる設備体制はもちろんのこと、弊社の要望に応じた試験頻度にも柔軟に対応可能であるとの回答を得ました。
今回の視察した5社の中で、最も信用して製造を委託できるサプライヤーであると最終的に判断いたしました。

まとめ:現場を見ずして品質は語れない
以上の視察結果を踏まえ、弊社は最終的にE社をサプライヤーとして選定し、調達を進めることを決定いたしました。
今回、5社もの工場を実際に視察し、各社の強みや弱み、そしてWEB上では決して見えない「リアルな実態」を比較検討したことで、改めて「現地現場を確認した上で取引を行うことの絶対的な重要性」を再認識いたしました。書類上のスペックや画面上の綺麗な写真だけでは、設備の本当のメンテナンス状況、担当者のトラブル対応力、そして現場の作業員の品質意識(5Sの浸透度)を見抜くことは不可能です。リチウムポリマー電池のような重要保安部品において、この確認作業を怠ることは、お客様への重大な背信行為になりかねません。
株式会社イーエル・オカモトでは、今後も妥協のない品質基準をもって、お客様のご要望に応じた最適な部品調達を実施してまいります。弊社はEMSで完成品に関わるあらゆる部品の調達にチャレンジします。品質確保はもちろんコストダウンにもこだわった設計から部品調達・製造組立・梱包までお任せ下さい。
株式会社イーエル・オカモト
国内・関西・京都のEMS(電子機器受託製造サービス)・OEM
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