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通信の種類で用途が変わる!IoTに使用する通信の種類を紹介

IoTエッジデバイスの開発において、通信方式の選択は最も重要な判断の一つです。株式会社イーエル・オカモトでは、これまで数多くのIoTプロジェクトを手がけてきましたが、お客様の設置環境や用途に応じて最適な通信方式を選定することが、プロジェクト成功の鍵となっています。
本記事では、IoTで使用される主な通信方式について、それぞれの特徴と選定基準を、フローチャート形式でわかりやすく解説します。実際の開発現場で培った知見をもとに、どのような状況でどの通信方式を選ぶべきかをご紹介します。
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目次
IoT通信方式の選定フローチャート
IoTエッジデバイスの通信方式を選定する際、まず最初に確認すべきなのは「インターネットに接続する環境があるか」という点です。この判断から始まり、Wi-Fiの有無、電源の有無、通信量や双方向性の必要性によって、最適な通信方式が決まってきます。
添付のフローチャートは、イーエル・オカモトが実際の開発現場で使用している通信方式の選定フローです。このフローに沿って判断していくことで、お客様の環境に最適な通信方式を効率的に選定できます。
フローの基本的な流れ
通信方式の選定は、大きく分けて以下の判断軸で進めていきます。
第1段階:インターネット接続環境の確認 設置場所にインターネット接続できるWi-Fi環境があるかどうかが、最初の分岐点となります。Wi-Fi環境がある場合は、比較的シンプルで低コストな構成が可能です。一方、Wi-Fi環境がない場合は、モバイル通信やLPWA(Low Power Wide Area)といった、独立した通信手段を検討する必要があります。
第2段階:電源の有無とデータ量の確認 Wi-Fi環境がない場合、次に重要なのが電源の有無です。電源が確保できる環境では、消費電力を気にせずWi-Fiルーターを設置してWi-Fi通信を利用することも選択肢に入ります。電源がない場合や電池駆動が必要な場合は、Zigbee、BLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離低消費電力通信、またはLPWAを検討します。
また、Wi-Fi環境があっても電源がない場合は、高速・大容量の通信が必要かどうかで判断が分かれます。大容量データを頻繁に送信する必要がある場合はLTE(Cat.4など)や5G、小容量で低頻度の通信であればLPWA(LTE-M、NB-IoT、Sigfox、LoRa)が適しています。
各通信方式の詳細解説
Wi-Fi:最も汎用性が高く、コストパフォーマンスに優れた選択
Wi-Fiは、イーエル・オカモトで最もよく使用する通信方式です。その理由は、通信のランニングコストが安く、ハードウェアのモジュールも豊富で選択肢が多いためです。
既存のインターネット回線とWi-Fiルーターを活用できるため、追加の通信費用が発生しません。これは特に複数台のIoTデバイスを設置する場合、トータルの運用コストを大幅に削減できる大きなメリットとなります。また、Wi-Fiモジュールは技術的に成熟しており、多くのメーカーから様々な価格帯の製品が提供されているため、開発コストも抑えられます。
通信速度が速いため、画像データや大量のセンサーデータをリアルタイムに近い形で送信できます。双方向通信も容易で、クラウドからエッジデバイスへの制御コマンド送信もスムーズに行えます。オフィスビル、工場、商業施設、家庭など、Wi-Fi環境が整っている場所であれば、最優先で検討すべき通信方式です。
ただし、Wi-Fiの電波が届く範囲は限定的で、屋外や広大な敷地での利用には不向きです。また、セキュリティ設定が適切に行われていないWi-Fiネットワークに接続することはリスクがあるため、企業環境では事前の調整が必要になることもあります。
LTE(Cat.4など)・5G:高速・大容量通信が必要な場合の選択
Wi-Fi環境がなく、かつ高速で大容量のデータ通信が必要な場合には、LTE(特にCat.4以上)や5Gといったモバイル通信回線が適しています。
これらの通信方式は、携帯電話ネットワークを利用するため、全国ほぼどこでも通信が可能です。山間部や離島など、一部のエリアを除けば、安定した通信品質を確保できます。動画のストリーミング、高解像度画像の送信、大量のログデータのアップロードなど、データ量が多い用途に向いています。
ただし、月額の通信費用が発生し、データ通信量に応じて課金される場合が多いため、ランニングコストはWi-Fiに比べて高くなります。また、通信モジュールの価格もWi-Fiモジュールより高価で、消費電力も大きいため、電池駆動のデバイスには不向きです。移動する車両やドローンなど、広範囲を移動するデバイスや、工事現場など一時的に設置する機器には最適な選択肢です。
LPWA(LTE-M、NB-IoT):バランスの取れた実用的な選択
LPWA(Low Power Wide Area)の中でも、LTE-MやNB-IoTは、イーエル・オカモトで頻繁に採用する通信方式です。これらは他のLPWA(SigfoxやLoRa)と比べて使いやすいモジュールが多く、通信のランニングコストも比較的安価という特徴があります。
最大の利点は、通信の上り(データのアップロード)だけでなく下り(クラウドからデバイスへの制御)も可能で、双方向通信が実現できる点です。月間500MBから1000MB程度の通信量であれば、LTE-MやNB-IoTを選択することが多く、コストと機能のバランスが優れています。
通信速度は一般的なLTEほど高速ではありませんが、センサーデータの定期送信や制御コマンドの受信には十分な性能です。消費電力も従来のLTEより低く抑えられているため、電池駆動でも比較的長期間の運用が可能です。また、携帯電話ネットワークのインフラを利用するため、全国的なカバレッジがあり、通信の信頼性も高いです。
スマートメーター、農業センサー、設備監視システム、自動販売機の在庫管理など、定期的なデータ送信と時々の制御が必要な用途に最適です。屋外設置で電源が限られている環境、Wi-Fiが使えない場所、広い敷地に点在する機器の監視など、様々なシーンで活躍します。
LPWA(Sigfox、LoRa):超低消費電力・長距離通信が可能
SigfoxやLoRaは、超低消費電力で長距離通信が可能という特徴を持つLPWA技術です。
Sigfoxは、専用のネットワークを利用し、1日あたりの送信回数に制限がありますが(通常140回程度)、通信コストは非常に安価です。デバイスの電池寿命を数年単位で確保できるため、電池交換が困難な場所に設置する機器に適しています。ただし、通信速度は非常に遅く、送信できるデータ量も1回あたり12バイト程度と限られているため、温度や湿度などのシンプルなセンサーデータの送信に用途が限定されます。
LoRaは、プライベートネットワークを構築できる点が特徴です。専用のゲートウェイを設置することで、独自のネットワークを構築でき、月額の通信費用を発生させずに運用できます。通信距離も数km以上と長く、広大な敷地や山間部での利用に適しています。農業、林業、広域の環境監視など、広範囲に分散したセンサーからデータを収集する用途に向いています。
これらのLPWA技術は、上り通信がメインで、下り通信は制限があることが多いため、主にデータ収集に特化した用途で選択されます。
Zigbee・BLE:近距離・低消費電力通信
電源がなく、かつインターネットに直接接続する必要がない場合、ZigbeeやBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離無線通信が選択肢となります。
これらの技術は、数十メートル程度の通信距離で、消費電力が極めて低いという特徴があります。デバイス間でメッシュネットワークを構築できるため、中継を重ねることで通信距離を延ばすことも可能です。
スマートホームの照明制御、ウェアラブルデバイス、ビーコンを使った位置情報サービスなど、近距離での機器間通信や、スマートフォンとの連携が必要な用途に適しています。ただし、インターネットへの接続には、ゲートウェイとなる機器(Wi-FiやLTEを持つ機器)が別途必要となります。
通信方式選定の実践的なポイント
通信方式を選定する際、技術的な仕様だけでなく、実際の運用面も考慮する必要があります。
初期コストとランニングコストのバランス Wi-Fiは初期コストもランニングコストも低く抑えられますが、既存のインターネット環境が必要です。LTEやLPWAは初期のモジュールコストは高めですが、場所を選ばず設置できる利便性があります。デバイスの設置台数や運用期間を考慮して、トータルコストで判断することが重要です。
設置環境と保守性 屋外や電波の届きにくい場所では、LPWAの長距離通信が有利です。一方、保守やトラブル対応のしやすさを考えると、Wi-Fiのように広く普及した技術の方が、将来的なサポートや部品調達の面で安心です。
データ量と通信頻度 必要なデータ量と通信頻度を正確に見積もることが重要です。過剰なスペックは無駄なコストとなり、不足すると本来の目的を果たせません。実際の運用を想定したデータ量の試算を行い、余裕を持った設計をすることが望ましいです。
セキュリティ要件 企業の重要なデータを扱う場合、通信の暗号化や認証機能が重要になります。Wi-Fiでは企業ネットワークのセキュリティポリシーに準拠する必要があり、モバイル通信ではSIMの管理が重要です。用途に応じた適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。
まとめ
IoTエッジデバイスの通信方式選定は、設置環境、電源の有無、データ量、双方向通信の必要性など、多くの要因を総合的に判断する必要があります。本記事でご紹介したフローチャートに沿って検討することで、最適な通信方式を効率的に選定できます。
- Wi-Fi環境がある場合:Wi-Fiが最もコストパフォーマンスに優れた選択
- Wi-Fi環境がなく大容量通信が必要:LTE(Cat.4など)や5Gを検討
- Wi-Fi環境がなく中容量で双方向通信が必要:LTE-MやNB-IoTが実用的
- 超低消費電力で長距離通信が必要:SigfoxやLoRaが適している
- 近距離・低消費電力が必要:ZigbeeやBLEを選択
株式会社イーエル・オカモトでは、お客様の用途や設置環境に応じて、最適な通信方式をご提案します。通信方式の選定から、エッジデバイスの設計・製造、クラウド環境の構築まで、ワンストップでIoTシステムの開発をサポートいたします。
IoT通信方式の選定でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。豊富な開発実績をもとに、最適なソリューションをご提案いたします。
株式会社イーエル・オカモト
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